2020/04/08 (WED)

生徒のみなさんへ(校長メッセージ)

生徒のみなさんへ
                                                  立教池袋中学校・高等学校 校長 豊田 由貴夫


イエスが舟に乗り込まれると、弟子たちも従った。そのとき、湖に激しい嵐が起こり、船は波にのまれそうになった。イエスは眠っておられた。弟子たちは近寄って起こし、「主よ、助けてください。おぼれそうです」と言った。イエスは言われた。「なぜ怖がるのか。信仰の薄い者たちよ。」そして、起き上がって風と湖とをお叱りになると、すっかり凪になった。(マタイによる福音書8章23節-26 節)


新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、本校はしばらく休校となります。
入学式・始業式も中止とさせていただきました。ご了解ください。特に、新入生の方々には、入学式を実施できなくて申し訳ないと思っています。在校生も参加し、歓迎のメッセージとともに新入生を迎える予定でしたが、感染防止を第一に考え、中止としました。適切な時期がきたら、入学式に代わるような行事を行い、新入生を迎えたいと思います。

本来ですと、新しい仲間たちとともに新学期を迎え、授業が始まり、いろいろな行事を行うのですが、感染防止を第一に考えています。みなさんが新型コロナウイルスに感染しないこと、そしてウイルスの感染を広めないようにすることを優先しています。

休校の間、みなさんにはまず、ウイルスに感染しないよう注意をお願いします。自分を守るため、家族を守るため、そして社会を守るために、行動を自分で管理し、時間を管理することが重要になります。普段よりも強く、みなさんの自己管理能力が問われることになります。十分注意をしてください。

そして現在はこのように危機的状況ですが、このような状況だからこそ、学ぶことがたくさんあります。新型コロナウイルスの感染は世界中に広まっています。国連の事務総長は、第二次世界大戦以降、国連が直面する「最大の危機」だという宣言をしました。フランスのマクロン大統領は、2月の段階でこのウイルスとの戦いは、「戦争」であると演説で語っています。将来、「新型コロナウイルスの感染」という、歴史で語られる事件を、我々はリアルタイムで経験しているのです。みなさんは歴史の生き証人になります。この機会にさまざまな情報を収集して、世界を見る目を養って欲しいと思います。

たとえば、ウイルスの感染が急激であることから、我々の世界がグローバル化していることがよくわかります。現在のわれわれの世界は、人の移動、モノの移動が増大しているので、これだけ感染が急激に拡大するのです。人類の歴史で、これまでもペストや天然痘など新しい感染病が出現してきました。それぞれ地球規模で影響を与えたのですが、新型コロナウイルスがこれほど拡がるのには、世界のグローバル化が大きく影響しています。

経済への影響も計り知れないものになっています。コロナウイルスの感染によって人の移動が制限されているので、観光業が不振になるのはもちろんですが、飲食業にも影響があります。そして一部の工場の生産が止まると、それを部品とする他の製品の生産が止まります。製造業にも大きな影響があるのです。アメリカのGDPはマイナス28%以上になると言われています。第二次世界大戦後、最大の経済危機だとも言われています。人の移動が無くなるといかに影響が大きいか、いかに経済が停滞するか、みなさんも実感としてよくわかるでしょう。

また、このような状況下で、世界の緊急時での対応を学ぶことができます。専門家はどのようなことを言っているのか、政府はどのような対応をしたのか。緊急の場合なので、それがすぐに国民の生活に影響を与えます。組織のトップの判断によって影響が分かれます。このような特殊な状況だからこそ、考えること、学ぶことがたくさんあるのです。このリアルタイムで経験することになる歴史上の事件から、多くのことを学んで欲しいと思います。

学校はしばらく休校となりますが、この休校という期間を前向きにとらえ、日頃まとまった時間がとれずにできなかった読書や調べ物をすることもできます。立教学院の目標の一つは、「テーマを持って真理を探究する力」を身につけるということです。まさにこのような時期に、主体的に問題意識を持ち、テーマを自分で探し出し、そして自分で情報を収集する力を身につけてください。

新型コロナウイルスの感染が終息するまで、しばらくは、耐える期間、我慢の時期になります。みなさんの健康で安全な生活を心から祈っています。そして次の登校日には、みなさんの元気な姿と会えるのを楽しみにしています。

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